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企業変革やDXの現場では、
PDCA、OODA、エフェクチュエーション、コーザル(Causal)といった
多様な意思決定フレームワークが語られます。
しかし10X Visionが大切にしているのは、
どのフレームワークが正しいかではなく、
環境に応じて意思決定のOSを使い分けられているか
という視点です。
世界が比較的安定しており、
目的やKPIが明確で、
因果関係が大きく変わらない状況では、
PDCAやコーザルな思考は非常に有効に機能します。
計画を立て、実行し、検証し、改善する。
このアプローチは、
行政や社会インフラ、成熟した事業運営において、
再現性・公平性・説明責任を担保するための
合理的な方法論といえます。
一方で、
新規事業、DX、AI活用、海外展開などの領域では、
前提条件そのものが日々変化します。
このような不確実性の高い環境では、
精緻な計画を前提とするPDCAだけでは、
意思決定のスピードが落ち、
機会を逃してしまうことも少なくありません。
そこで力を発揮するのが、
OODAやエフェクチュエーションといった考え方です。
OODAは、
「観察(Observe)・状況判断(Orient)・決断(Decide)・行動(Act)」
を高速で回すことで、
変化に適応し続けるための意思決定モデルです。
エフェクチュエーションは、
将来を正確に予測するのではなく、
「今ある手段・知見・関係性」から出発し、
行動を通じて未来を形づくっていくアプローチです。
これらに共通しているのは、
未来は計画によって当てにいくものではなく、
行動と学習の積み重ねによって創られる
という世界観です。
大企業は、巨大なタンカーに例えることができます。
社会的責任を背負い、
既存事業を安定的に運航するためには、
PDCAやコーザルな思考による
計画性と再現性が不可欠です。
急旋回はできませんが、
一度進路が定まれば、
圧倒的な推進力を発揮します。
一方で、
小さなエンジニアリング企業やスタートアップ、
あるいは日本市場に進出する海外企業は、
軽快に動くタグボートのような存在です。
不確実性の高い環境では、
OODAやエフェクチュエーションによって、
観察し、判断し、動きながら学習するスピードが、
大きな価値を生み出します。
問題が生じるのは、
タンカーにタグボートのような機動力を求めたり、
タグボートにタンカー並みの事前計画を求めてしまうときです。
これは思想や文化の違いではなく、
意思決定のOSと、置かれている環境のミスマッチ
によって起こります。
10X Visionは、
このタンカーとタグボートをつなぐ存在でありたいと考えています。
タグボート的な機動力を持つ企業とともにOODAを回し、
現実の中で仮説を磨き上げ、
その成果を、
タンカーである大企業が受け取れる形に翻訳する。
そして最終的には、
大企業のPDCAに乗せて、
再現可能な変革として定着させる。
特に、
海外のエンジニアリング企業が日本市場に進出する際には、
日本特有の商慣習や意思決定プロセス、
説明責任の重さが、
見えない壁になることが少なくありません。
10X Visionは、
探索フェーズではOODAやエフェクチュエーションを用いて伴走し、
成果が見えた段階で、
日本企業のPDCAに接続できる形へと整理・翻訳します。
不確実性の時代において、
変革は一気に進むものではありません。
タグボートが進路を探り、
タンカーが安心して舵を切れる水路をつくる。
この役割分担こそが、
持続的な変革を実現する
現実的なアプローチだと、
10X Visionは考えています。
未来を切り拓くのは、
企業の大きさでも、スピードでもありません。
異なる意思決定のOSを持つ者同士をつなぎ、
同じ方向に進ませる設計力。
それこそが、
10X Visionが提供したい価値です。